モンスターx少女
2008-12-12
魔界、そこは弱肉強食の原理に支配された混沌の世界。いかなる行為も力の前には許され、いかなる倫理も力の前には屈服する。
その原理に、とある少女が晒されていた。
少女は下級の悪魔だった。かろうじて信頼できる同属の群れで生き、やはり自分より弱いものを食い物にしてきた。
その因果だろうか、彼女も現在、他の生き物に踏みにじられる立場にあった。だがそれは捕食という形態よりはるかに醜悪で邪悪な形での蹂躙だった。
少女は、苗床として使われていた。
醜悪な姿をした獣が、少女の前にやってきた。少女よりはるかに大きい体格は、かろうじて人型と呼べる手足が付いていた。
「あ、あああ…」
魔獣の登場に、しかし少女は逃げなかった。
両手が壁に埋め込まれていた。少女が今いるのは、このモンスター――厳密にはこのモンスター達の群れが作った巣の一部だ。巣は彼らが自分の分泌液を混ぜて固めた泥でできており、乾燥した泥は岩のように硬くなる。少女の細腕では砕けない。
だが…たとえ砕