大杉栄、十歳の時のお話
2012-11-14
関東大震災で甘粕正彦に暗殺された大杉栄、その自叙伝より。
お花さんは僕とおない年か、あるいは一つくらい年下だった。ほとんど毎日僕の家に遊びに来た。
そしてたいていは、妹らと遊ばずに、僕とばかり遊んでいた。
みんなで一緒に遊ぶ時には、よくみんなが炬燵にあたって、花がるたかトランプをして遊んだ。
そんな時にはお花さんはきっと僕のそばに座を占めた。お花さんの手と僕の手とは、折さえあれば、
炬燵の中でしっかりと握られていた。あるいはそっとお互いの指さきでふざけ合っていた。そして二人で、
お互いにいい気持ちになって、知らん間にそれをほんと