ハッサンの発散
2009-02-20
ハッサンはその夜、宿屋で隣のベッドに眠るミレーユに声をかけた。
「よう、ミレーユ。起きてるか?」
うとうとしながらも、その声に気づいたミレーユが体を起こす。
「ハッサン、どうしたの?まだ夜は明けないわよ」
ハッサンは寝そべったまま足を組んでいる。
気まずそうに、おずおずと話し始める。
「あのよう、お前、昔は奴隷として働いてたって言ったよな?」
「・・・ええ、本当は思い出したくないけどね」
ミレーユは薄暗い部屋の中で、じっと手のひらを見つめている。
「すまん・・・こんな話、俺もするつもりはなかったんだ。でも・・・」
体が大きく不器用な口ぶりのハッサンに、ミレーユは優しく語り掛ける。
「いいのよ、もう過去の話だし。でもそれがどうかしたの?」
しばらく沈黙があった。
突然ハッサンがガバッとベッドの上で立ち上がった!
「もう駄目だ!俺、気になって眠れやしない!!」
ミレーユは月明かりの洩れる部