幸せの丸い貝

開く
2018-02-05


 大学で日本の風俗を研究している私は、休みを利用して、東北の海沿いの道路を歩いていた。
 道路から階段が伸びていて、下には岩 

場がある。

ふと下りてみたそこには1人の少女がいた。

 少女は岩場を、何かを探すように歩いていた。

 「何か探しているのですか」
 私は声を掛けた。

 「貝を」

 少女は言った。

 「幸せの丸い貝を探しています」

 貝とはまた奇妙だ。

それは希少で高級な貝なのかと問えば違うという。
 食用かと問えば、食べる人もいるが、と言う。
となると、恐らく貝殻が必要なのだろう。

 「祭で必要なのです」

お勧めの体験談