母の期待
2022-12-25
母の期待
最初の頃は、母の喜ぶ顔が見たくて頑 張っていたのだと思います。その一方で
知らず知らずのうちに精神は病んでいました。《心が病む》というのが正しいのかもしれません。
母は子供が出来難い体だったようで、かなり若くして俺を生んだ後は子供に恵まれませんでした。
それだけに俺に対する愛情は並大抵でなく、俺を生き甲斐そのものにしてしまったくらい。
中学生になっても、俺への愛情は衰えるどころか増々強くなり、極端な話、命を失っても構わない、
母はいつもそんな覚悟で俺を愛してくれていたのです。
或る日、頭がパニック状態になり、自己崩壊の兆しを感じて、それを回避しようとしていました。
流石に母も気が付いて、涙を浮かべて優しく抱いて包み込んでくれたのです。
俺は胸が熱くなり、母に抱き付いたまま滔々とないてしまいました。
それから母は相当悩んだようです。このまま放っておいたら、精神に異常をきたしかねない、と
そして悩み抜いた末、