福の神と呼ばれた、知的障害者
2010-03-29
あなたは仙台四郎という人物を知っているだろうか?この人物は、明治時代に、仙台市に実在した人物である。取りたてて、何か大きな仕事をした訳でもなんでもない。しかし今、その人の肖像画が、家運上昇、商売繁盛に御利益があるとして、飛ぶように売れ、その人形さえ作られているというから不思議である。そもそも四郎さんは、少々知的障害を持った人物だったようである。
最初は、何となく、人のうちに来ては、愛想の良い笑顔を振り撒いて、何となく帰っていく、ただそれだけの人物と思われていた。…ところが、である。不思議なことに四郎さんがやって来た家は、運が次第に向いてきて、良いことばかり起こる。やがてそのことが町中の評判となった。
ある時などは、事業がうまく行かず、死ぬことさえ覚悟した人物の家の前に、ふらっと現れると、四郎さんはこう言い放ったという。「そんな恐い顔しないで、俺みたいに笑ってけさいん」(仙台弁で笑ってください)四郎さんに、そう言われて、ふと鏡で自分の顔を覗いて見ると、そこには鬼のような形相の男がいたのである。
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