土曜日の女

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 街路樹の落ち葉を掃き掃除している男性。
 事務所からは女性事務員がごみを出しに出てきて、すぐにまた中に戻った。
 土曜日の朝、ふと眼にした光景は、かつての私を彷彿とさせた。

 「ちょっと、こっちへ来てくれないか」
 朝のごみ出しから戻ると、上司の声。
 「今日は、集まり悪いよな。みんなには道路のごみ拾いに行ってもらったわ」
 いやな予感がしてそれはすぐに的中しました。
 「これ」
 見るときのこの山は盛大に造山活動を続けていました。
 きのこのお世話は嫌いではなかったのですが、上司の六本木さんは逝くとき「お~」とか「あ~」とかとても大きな声を出すので、職場のみんなも、それとなく気づき始めていたのです。
 その日もマツタケの白露をしぼりとるとき、「お~」と動物的な雄たけびを発していました。

 「ところで真里チャン、頼みがあるんだ」
 「?」
 「実は、〇〇部長のとこ忙しくてさ。あいつがまた、2時間もかけて通勤してくるのさ。そこで、


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