ツリガネニンジン(前)

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2009-12-05

 高二の秋のことだ。修学旅行で広島に行った。なお、登場人物はすべて仮名で、少なくないフェイクがある。
 旅行初日の晩には定番のアレがあった。が、展開がちょっとおかしかった。

「おれは断然鶴田さんだな」
「おれもおれも」

 隣のクラスには、鶴田さんという女の子がいた。
 部屋の電気を消して、ふとんにくるまって、廊下の足音に意を配りながら、ひそひそ声で、あの子がいいだのあの子はダメだだの話し合うのが醍醐味だというのに、どいつもこいつも鶴田さんがいい!としか言わない。ので、まったく議論にならない。
 鶴田さんの顔は…今思うとそんなに可愛いわけじゃなかったと思う。整っているが少し眼つきがきつい。でも、

「絶妙だよな、あのムネ」
「ああ。あの体型にはあのサイズしかない。お尻もちょうどいい」
「手とかほっぺたとかさ、真っ白なんだよな」
「つうことはだよ、多分、おっぱいも真っ白なんだぜ」

とみんなが言うよう

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