今でもおかずに
2012-10-10
大学病院の医師のほとんどはしばしば経済的理由からアルバイトに他の病院に行って診療を行うことがあります。私も土曜の夕方から月曜の朝まで200床ほどの民間病院で当直のアルバイトをすることがあります。この事件はある初夏の日曜日、早朝当直室の電話が鳴ることから始まりました。
電話は当直婦長からのものでした。17歳の女性が右下腹部痛を訴えて来院しているとのことです。生活保護の患者さんだけれど診るか?との問い合わせでした。私は「診ましょう」と伝え、外来診察室に向かいました。
患者さんは身長160cmほどの肩まで髪のある可愛い女の子でした。母親らしき女性と一緒に中待合いの椅子に腰掛けていました。昨夜から右の下腹部が痛くよく眠れなかったとの訴えがあります。病歴を聴き、一通りの腹部の診察(シャツを胸の下までまくり、スカートのホックを弛めておなかを診る)を終えて排卵痛の可能性が高いとの結論を導き出しました。鑑別診断としては他の婦人科の病気(卵巣出血や卵巣嚢腫の茎捻転など)や尿路の病気、虫垂炎(盲腸)の可能性も否定できないから、詳しい診察やレントゲン、超音波検査、尿検査、炎症所見をみる血液検査も必