豆のお話

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2010-02-19

昔々あるところに、交通事故でお父さんを失った母子がおりました。
上の子は10歳、下の子は7歳でした。

お母さんは、生活を支えるために朝6時に家を出、
ビルの清掃、それから学校給食の手伝い、夜は料理屋で皿洗いと、身を粉にして働きました。
でも、そんな生活が半年、8ヶ月、10ヶ月と続くうちに、
身も心もクタクタになってしまいました。
いつしかお母さんの頭には、いつも死ぬことばかりが思い浮かんできたのです。

そんなある日、お母さんは朝でがけに子供たちに置手紙を書きました。
「おにいちゃん、おなべに豆がひたしてあります。これを、今晩のおかずにしなさいね。
 豆がやわらかくなったら、おしょうゆを少し入れなさい。」

その日も1日、くたびれきって帰ってきたお母さんは、
今日こそ死んでしまおうと睡眠薬を買っていました。
そんなことはまったく知らない二人の子供たちは、すやすやと眠っていま

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