義弟・隆志のくれたアドバイス
2013-09-19
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「ほんとすまなかったです。なんかオレ、ホントすまなかったです」
目の前のソファーで、大きな体を縮めて汗をかきながらしきりに恐縮しているのは、俺の妻である美加の弟、隆志君だ。
彼は、なんというか、頭の回転が人より遅いところがあって、美加もそれを気にしてか、昔からあんまり彼を俺に会わせたがらない様子があった。
だが、俺は別にそんな偏見は無いつもりだし、話してみれば、彼の素直で純朴な人柄がよく分かって、俺はむしろ彼が好きなくらいだった。
だが、そんな彼が傷害事件を起こした。
酒の席で、職場の同僚にお前はバカだとネチネチ言われ続け、酒のせいもあってついカッとなって1発だけ殴ったら、運悪く相手がかなりの大怪我を負ってしまったのだ。
彼の頭のことや、酒の席であること、またその経緯を考慮しても罪を完全に逃れる事は出来ず、結局彼は特別な施設に一定期間収容されることになった。
今日はいわばその『出所日』というわけである。
最初は、彼が施設に入ったため一人暮らしになってしまっていた義