鈴音の場合2

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2004-09-10

鈴音の場合

二 兆候

 鈴音が目を覚ますと、辺りは真っ暗闇になっていた。
 だんだん意識がはっきりしてくると、口の中に何かが詰め込まれているのが判った。それは猿ぐつわの如く顎に噛まされていて、歯を噛み合わすことや言葉を発する事を出来なくさせていた。
『あのギャグ・ボールだ』そう気付いた鈴音は、手を頭の後に回して、それを引き剥がそうとした。だが、それは叶わなかった。
 指を動かせなかったのだ。と言うのも、手のひらに固いゴムのテニスボールの様な物を握らされたまま、手首まですっぽりと頑丈な袋で包まれていたからだ。
 驚いた鈴音はベッドから飛び降りたが、そのとたんに足を滑らせて転んでしまった。そう、足の裏にも同じ様なゴムボールが入れられ、足首まで袋で包まれていたのだ。弾力のあるボールは、真っすぐに立つことを不可能にさせている。
 鈴音は手も足も使えない状態にされてしまっているのだ。
 そう言えば、こんな格好してゆうちゃんと遊んだんだっけ…。昨日のことを思い出して、鈴音は頬を

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