至上の鎖

開く
2005-08-13

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 三年の教室から生徒会室へ向かう廊下の途中に、一年の教室の一部が入っている。
 放課後都がその廊下を歩いていると、必ずその教室のひとつから弟の巧の声が聞こえ
てくる。飽きもせず毎日くだらないことを話していて、なかなか帰らない。
 三年だけ受験対策で終業が遅いため、部活のない下級生の大部分が下校しているタイ
ミングだ。
 つるんでいる仲間は三人ぐらいだろうか。
 その教室に差し掛かるときにいつもちらりと見るだけで、よくはわからない。
 生徒会の仕事をやるようになってから毎日同じ時間、ずっと通っている廊下。
 一ヶ月後には引継ぎがある。それが終わればわざわざ通ることもなくなるのだろうか、
と都は少し複雑な思いに捕らわれていた。
 弟たちの会話がとても楽しそうだったからだ。
 それにしても、と都はいつも思う。
 他の大きいコたちに囲まれていると巧は女の子のようだ。
 身長こそ伸びたが、線の細さは一

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