性同一性障害の災難
2014-07-26
高校グランド奥の体育倉庫。テントや授業用の体育用品と捨てきれなかった備品が積んである。辺りはもう真っ暗で、全く人気はない。部活の生徒たちも、皆帰宅した時間だ。
そこに、制服のジャケットにズボンの男子生徒が4人。
一人の小柄な男子を、他の3人が、広げた古い体操マットに押さえ付けていた。
「やめろ! 離せっ!!」
小柄な男子は叫ぶ。
しかし、この学校のグランド裏は、山林で叫びはどこにも届かない。
「本当かよ、伊藤が女だって」
「あぁ。伊藤と同じ中学だったやつから聞いたんだ」
押さえ付けている生徒たちが、そんなことを話している。
「ふざけんな、俺は、男だっ!」
小柄な男子が怒鳴る。
しかし声変わりしていないような高めの声には迫力がない。
「だから、そいつを今、確かめてやろうって言ってんだよ!」