バイクと夜桜
2007-07-30
前略。
少し昔の話をします。家族とお花見に行ったら、どうしてもあなたに一筆
したためたくなったのです。
慣れない土地で一人暮しをはじめたばかりで心細かったあの頃。
仕事から帰ると、晩ごはんを食べる気力もなく、つけ放しのテレビの前で
ぼおっとしていると、窓の外に聞き慣れたオートバイの音。
「一五分だけ付きあえよ」と言ったあなたは、どこかで転倒でもしてきた
のか、袖が破れ血がにじんでさえいました。手当てをしようとする私を無
視して、「すごい発見をしたんだ。とにかく乗れよ」と言われるままに、