100歳女性のライフヒストリー:九州海村の恋と生活
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第3の特徴としては、高い出生率と頻繁な婚前・婚外出生、およびそれをとりまく結婚慣習を挙げたい。
この地域の粗出生率と合計特殊出生率は近世中後期日本の最高水準に属する。
女性の平均産児数は4.3人である。人口増加は高出生率による自然増加であった。
年齢別出生率は自然出生力のパターンを示しており、意図的出生抑制を行なわなかったことが分かる。
さらに注目すべきなのは、頻繁な婚前・婚外出生である。
野母村の女性の平均初産年齢は23.6歳で、初婚年齢より低い。
結婚する前に出産するのが一般的なパターンだったのである。
野母村の平均初婚年齢は女性25.3歳、男性31.1歳で、当時の日本でもっとも高い部類に属するが、婚前に性交渉をもつのは当たり前だった。
年齢別有配偶出生率を求めると10代後半が非常に高いが、これは若年結婚はほとんど婚前妊娠のケースばかりだったことを示している。