人魚物語(改)
2015-09-28
20150926-人魚物語(改)
1.出会い
ここは北海道、釧路市。
もうすっかり雪化粧の朝、通勤途中のバスの中から何とはなしに外を見ていた。
ふと、幣舞橋(ぬさまいばし)の欄干にいる人魚像が眼に入った。
何故、彼女はあんなに汚れているのに誰も掃除しないんだろう。
可愛そうに、ブロンズも白く染まり見る影も無い。
そうだ、今日はクリスマスだ。
私が人魚像に綺麗な姿をプレゼントしよう、そう思い立った。
その日の夕方、バケツと雑巾を持って人魚像の足元に腰掛けた。
汚れが漸く落ちて、綺麗なブロンズ像の姿に満足した私は、服に付いた汚れを手で払って立ち去ろうとした、その時だった。
突然誰かにオーバーを掴まれた。
誰だろうと振り向くとそこには・・・、
裸の美少女が!
私の瞳を見詰めオーバーを掴んでいたのだ。
「ど、ど、ど