想ひ出
2013-02-09
今夜は冷えるな。 こんな寒い夜は忘れていた記憶が甦るんだ。
なあ、あんた。 聞いてやってくれるかい?
そう、あれは俺がまだ16の頃の話しさ。 あの頃、俺にはいつも傍にいた男がいたんだ。 古めかしい言葉で言えば相棒だな。 今風に言うとバディってやつか。 とにかくその頃の俺とは心が通い合った存在だった。
俺たちは同じ高校に通ってたんだ。 部活は違うから、下校は別々が多かったが朝は家が近かったんで毎日一緒に行ってたんだ。
ある朝、俺と奴はいつものようにいつもの時間、いつもの場所で待ち合わせて学校に向かった。
ただ一つ違ったのは登校途中の商店の前に、昨日まではなかった自販機が置かれていたことだった。
俺は何気なくその前を通ったんだが、奴は違った。
その自販機の前で立ち止まり、少し考えてこう言ったんだ
『俺、コレ買ってみるよ』
全く興味がなかった俺は、奴の言葉を聞き