忌むべき日常行事_3

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2012-11-06

午後十時四十四分。永田家に十三人の山賊が襲来した。 
 お実と虎男以外の住人たちは寝ていたところを叩き起こされ、全員が居間に集められた。当主の永田巌夫妻。その息子の虎男夫妻。虎男の子供たちは四人。枝美の下はすべて男の子だ。そして、お実を含めた使用人が三人……。 
 その十二人を十三人の山賊たちが取り囲んでいた。炭坑夫然とした格好の山賊たちは畳に座るなり、壁に寄りかかるなりしてくつろいでいる。各人相当疲労がたまっているようたが、みな一様に鋭い眼光をたたえていた。 
 集められた住人たちは両手両脚を縛られ、猿轡を噛まされている。罰が悪いのはお実と虎男だが、この状況下で、なぜふたりが外にいたのかを詮索する者はいないだろう。もっとも、子供たち以外は承知のことだったが……。 
 怯えきった住人たちの前に山賊の頭目らしき中年男が進み出た。動物に例えるならば飢狼の形容がふさわしい容貌をしている。男は手にした小銃で肩をトントンと叩き、しわがれた声で切り出した。 
「最初に言っておくが抵抗すれば殺す。死にた

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