妻のバイオリン教室は、秘密のご褒美のおかげで評判が良い
----/--/--
ウチには完全防音の音楽室があって、そこで嫁のいおりがバイオリンを教えている。いおりは、昔は有名な音楽グループのバックでバイオリンを演奏したりもして、それなりに有名だった。
そして、その時の知名度のおかげか、教え子は多い。授業料も相場よりは高めに設定しているそうだが、教え子が途切れることもなくここまで来ている。
私の稼ぎもそんなに悪いわけではないが、フルタイムで働いている私の稼ぎと変わらないくらい稼いでくれている。夫としては少し歯がゆい気持ちもあるが、ありがたいと思う気持ちの方が上回る。
そして、いおりの教え方が上手いのか、コンクール対策のノウハウがあるのかわからないが、教え子は賞を取ったりすることが多いらしい。
なかでも、映斗君という少年は、テレビのニュースになったこともあるくらいに将来有望なバイオリニストらしい。まだ6年生であどけない少年だが、ふとしたところに大人だなと感じることもある少年だ。
「先生、ありがとうございました! またね〜!」
男の子の教え子が、元気いっぱいに挨拶をして出て行った。いおりは、笑顔で送