中間管理職の憂鬱
2008-07-31
「この・・・馬鹿者がーっ!」
私の怒声に、オフィスがシンと静まりかえる。
デスクを挟んだ目の前には、薄いグレーの犬人が身を縮こまらせて恐縮していた
。
いつもは元気良く振られている尻尾を垂れ下がらせ、両の耳を完全に寝せてショ
ンボリとうつむいているが、そんなことくらいでは私の気はとても収まらなかっ
た。
「今すぐ先方にお詫びの電話を入れろ! 謝罪に行くぞ! 外出の支度をしろ!
」
「は、はい・・・! あの、部長も来られるんですか・・・?」
「当たり前だ! お前一人で取れる責任じゃないだろう!」
部下の尻ぬぐいも上司の役目。
まったく、損な役回りである。
「でも、その・・・」
「デモもストライキもない! さっさとせんか!」
「はい