鈴音の場合

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2004-09-10

鈴音の場合

一 発端

「あ~あ、やんなちゃうなぁ」
 新人漫画家、立花鈴音はベッドにドサリと身を投げ出した。
もうそろそろ編集部に次の『コミック・HEAT』用のネームを
入れなければならないのに、ちっとも話が思い浮かばないのだ。
しかも締切を破ってるので後が無いのもつらかった。
「結局は、エッチだけ描いてりゃいいんだろ~けどねぇ」
 載っけてもらってる雑誌が、いわゆる美少女漫画誌なので、その手のシーン
があればなんとか形にはなる。
でも「形になる」で済ます訳にはいかないのが鈴音の漫画家根性なのだった。
 どんなエッチを描くにしろ、そこに自分なりのストーリーを組み入れねば、あっとゆ~まに読者に飽きられ忘れ去られてしまう。新人女流漫画家とか大人気好評連載中とかいって、盛りたててもらえるのはほんのわずかの期間なワケだし、それにデビューした以上はガンバラなきゃいけない。
 もっとも、同人誌即売会会場での青田刈りでデビュ

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