同時にトイレ
2010-01-28
季節は冬のまっただ中。
マラソン大会の練習終わり、尿意を催した自分は校庭脇にあるトイレに向かった。
そのトイレは男女共用の和式トイレで、個室が1つしかないこじんまりとしたものだった。
さっさと用を足して教室に帰ろう。
そんなことを考えながらトイレのドアノブに手をかけた瞬間。
「待って!!」
後ろから駆け足の音とともに、自分を呼びとめる女子の大きな声が聞こえた。
振り向くと、ものすごい勢いでダッシュしてくる2人の女子が目に入った。
それはいつも学年で成績上位の2人、SさんとKさんだった。
「お願い、先に使わせて!」
自分の所までたどり着いたSさんは、必死の形相で手を合わせる。
眼鏡の奥の瞳は潤んでいた。
「私たち、もう限界なの!」
Kさんは苦しそうに顔を歪ませ、その場で足踏み。
トレードマークの三つ編みがフルフルと小刻みに揺れる。
普段はどちらかというと控えめで大人しいタイプの2人。