隣の奥さんの提案

開く
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緊張感の途切れる昼下がり。
とある中学校の一年生の古文の授業中に、
辻原文太(つじはらぶんた)は小さなため息をついた。
昼食後のこの時間帯はいつもやる気が出ない。
まあ、彼の場合、全ての授業において熱意を抱くことが無いのだが。

(早く放課後にならないかな)

文太の席は、黒板から最も遠い後ろに位置しており、なおかつ窓際である。
彼は視線を左に向けて外の風景をぼんやりと眺めることにした。
代わり映えの無い景色。
少しずつ気温が上がってきた六月の中旬の空は、やや曇っていた。
……傘を持ってきていないことを思い出し、余計に憂鬱な気分になってくる。

「こら、辻原! 授業に集中しろ!」

古文担当の教師が教壇の上から一喝する。

「あ、は、はい、すみません……」

クラスメイト達の口からクスクスという笑い声が聞こえてくる。
それはあまり温かい意味を持ってはいなかった。
文太にとって、


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