TVゲームに魅せられて

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2004-07-30

TVゲームに魅せられて 


「やったあ! 第二ステージ・クリア!」
 手にしていた家庭用ゲーム機のコントローラを振り回しながら、少女は歓喜のおたけびを上げた。
「見て見て、遂にやったよ。凄いでしょ?」
 たった今、テレビ画面に登場した僧衣姿の老人から、天空龍王拳の継承者として認める旨を告げられた少女は、自分の背後でその操作ぶりを覗き込んでいる青年の方を振り返り、
得意満面の面持ちで戦勝報告を口にした。
「…ん、ああ。大したもんだな。洋子ちゃん、本当にこの格闘ゲーム、初めてなの?」
 僅か三十センチ程の距離に位置する、二つに結んだおさげの髪型が似合う整った顔を見つめながら、青年は、洋子と呼んだ少女に問い掛けた。
「うん、このゲーム機も初めて。お年玉で買おうと思ったんだけど、ママが、無駄使いは駄目だって言うから…勝にいちゃんが持ってるなんて本当に嬉しいな。分かってたら、もっと早く
遊びに来てたのに」
 少女は肩をすくめながら、自分が遊

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