Water lily HOTEL
2022-12-21
『Water lily HOTEL』
恋歌
旅客船“イオカステ”号が港に着岸した衝撃でも慶子と巧は目を覚まさなかった。今
朝未明にサイパンについてすぐ港からこの船に乗った時に服用した酔い止め薬がまだ
効いていたのである。薬が効きすぎる体質は母子だけに実に良く似ていた。まあ、今
はまだ早朝六時なので起きなくても無理はないのかもしれないが。
「Good Morning!」
他の乗客がさっさと降り、最後の乗客となった二人を船長である三十歳くらいのブロ
ンドの美女がおこしに来た。ちなみに彼女はこの船の機関士とは実の姉弟らしい。サ
イパンを出発する前にそう自己紹介された時に二十人はいた他の乗客が歓声を上げた
が、慶子達にはその意味が良く判らなかった。まあ、出港と同時に二人とも寝てし
まったので、その後の船内がどうなったのかは知らないのだが……
「あ、ついたの」
寝ぼけまなこでまず巧が起き上がった。今年で十五歳に