登山にておもちゃに……

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2019-03-10

 母と春に登山した時。

 僕が16歳、母37歳。我が家は他の家よりは裕福で母も年齢より若く、自慢の母だ。

 日帰りで下山の途中で迷ったらしく、おまけに天気予報はハズレ小雪が降り、かなり寒い状態だった。
 
 「僕君、もう少しの辛抱だからね」
  
 そう言う母だが当てもなく暗くなった山道を不安そうに二人で歩いていると、灯りが見えた。

 (良かった、助かった……)

 二人ともそう思い、近くへ行くとそれは小さな山小屋だった。

 「すいません…開けてください」

 すると、なかには大学生風の男女4名がいた。

 「山に迷い休ませてくれませんか?」

  「私たちも登る途中で吹雪にあい、この小屋で休んでいたところです。どうぞどうぞ。」

 「寒かったでしょう。薪ストーブの近くへ。」


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