高垣楓と少年(2)
2023-07-25
少年があの日、トップアイドル高垣楓と過ごした春の夜の夢から、夏の盛へと季節は流れていた。
テレビや雑誌で楓を、暗色の蒼と深緑のオッドアイのくりっとした瞳を、左目下の泣きぼくろを見るたびに、あの日の楓とした気持ちいい出来事は夢だったのではないかと思えてしまう。
けれどあの蕩けてしまいそうなくらい熱く、絡みついてきた熱を身体は覚えている。夢ではないと。少年は楓を思い出しながら幾夜を溶かした。
そしてあの日、楓と初めて出会った春の夜の夢が再演されたかのように、また河原の温泉でオッドアイの瞳と、高垣楓と再開した。
楓と再開した瞬間。春の夜の夢が一気に蘇り、少年のものは固く大きくなる。少年は「楓さん」と楓の名前を叫び、固く大きくなっていることを忘れ、思わず立ち上がってしまっていた。
「あら、私の名前…」
楓は驚いた仕草を見せてから、また柔らかに微笑み言う。
「そうですか。私の正体気がついてんですね」
楓の