歩兵義昭(4)

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2022-05-28

 栄興三年六月、W県は東日本共和国の実質的な支配下……占領されてしまった。
 避難する民間人が続出するなか、大学生の宮村奈緒美はW県に残った。
 (このままみんながここを離れたら、東日本共和国に占領されたまま………。故郷がなくなるのよ……。そんなのは絶対イヤ)

 奈緒美の家は既に戦闘で焼失してしまってので、他の民間人と小学校の校舎で避難生活をしていた。そこには避難が遅れた高齢者や子どもたちがいて、奈緒美は生活の世話をしていた。

 ある日、空き教室で子供たちに勉強を教えてる奈緒美たちのもとに、東日本共和国の兵士が現れた。
 「な、何ですか?あなたたちは」
 「いやぁ、授業の邪魔をしに来たわけではないが、ここに西側のゲリラがいるとの情報があり調べに来た訳だ」
 小銃をちらつかせて威圧する兵士は答えた。
 「ここには子供しかいません。帰ってください」
 「うー

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