死の淵から その3 -手紙-

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2013-08-24

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田中や美鈴さんの話を聞きながら、私は妻の心境を思い、また私自身の甘えや不甲斐なさを感じ、私自身も変わらねばと思うのです。
私は妻にいつも変わらぬ愛情で私を守ってくれる母親を求めていて、桂木諒子という一人の女性を求めてはいなかったのかもしれません。
妻も間違いを犯す平凡な人間であることを許さなかったのは、他でもない私自身なのでしょう。

今、妻を一人の女性“桂木諒子”として愛せるのか、私には分かりません。
しかし、私の中にはいつも諒子がいて、このまま諒子のことを何も知らないで諦めることはどうしても出来なかったのです。
私は、田中に今の私の気持ちを綴った手紙を渡し、諒子に渡して欲しいと頼みました。
私は返事が来るまで何回も手紙を書きました。
どんな事実があろうとこれから2人で乗り越えていきたいと。
どれほど苦しくても絶対諦めないと。

妻からの返事が初めてきたのは、妻が出て行ってからもうすぐ1年経とうする頃でした。

---最初の手紙---


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