立ち食いそば
2008-12-21
今日、ちょうど定年退職をむかえた初老の男がひとり、駅前の立ち食いそば屋で一杯のそばを食べている。
エビの天ぷらが一尾のっかった一杯500円のそばだ。
男は30年も前からほぼ毎日昼休みこの店に通っているが、一度も店員とは話したことがない。
当然、話す理由なども特にないのだが、今日男は自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけていた。
「おやじ、今日俺退職するんだ」
「へぇ・・・。そうかい」
会話はそれで途切れた。ほかに得に話題があるわけでもない。
男の退職は、今日が店を訪れる最後の日