米兵さん
2009-05-27
私は戦時の中、幼少時代を過ごしました。
物心ついた時には母親はおらず、父は兵隊に取られ、祖父と田舎で暮らしていました。
家のすぐ脇には河が流れており、200mほど河を下った所には捕らえられた米兵を収容している建物がありました。
とある日のこと、私が河で芋を洗っていると、誤って手を放してしまい、その芋を河に流してしまいました。
その芋はたまたま下流で水浴びをしていた米兵達によって拾われました。
米兵は自分達に向かって流してくれた物だと思い、喜んで私に手を振って芋を持って帰りました。
きっと酷い扱いを受けていたのでしょう。
それから私は定期的に川下にいる米兵達に、周りには分からない様に野菜を河に流して渡す様になりました。
やがて戦果も悪化して日本軍が不利な状況になるにつれて 食糧事情は厳しいものとなりました。
私は元々祖父と二人暮らしだった為、食料で困ることはありませんでしたが、米兵達に食料を分け与えることは出来なくなりました。