幽体離脱

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2015-02-11

放課後の教室で心霊本を読みながらああでもないこうでもないと盛り上がる7,8名の一団。その中心に居るのは波左間 武士(はさま たけし)16歳。その向かい側に座るのが彼の意中の女子、佐藤 公子(さとう きみこ)。公子の友達が図書館で見つけてきた怖い話の本をみんなで読んではキャーキャーと騒いでいる。男どもはこの女子集団が目当てで残っているのが大半。
武士はといえば、この話に別段興味があるわけではなかった。ここ数か月気になり始めていた公子との時間を過ごしたかっただけだ。思い立ったらすぐ行動に移す彼は彼女の気をこちらに向けるべく、偶然を装って一緒に帰ったり興味のない話題でも合わせたりと涙ぐましい努力を続けていた。
一方公子の中では、その武士の努力が実を結びつつあり、気になる男子のトップに武士をランキングしていた。女子としては明らかに好意をもって接せられて悪い気はしないものだ。

取り巻きが本を読み進めていく。一同の関心を一層引いたのは心霊写真の次のページのコラム。『幽体離脱』について図解でわかりやすく説明してある。好きなところに行け

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