お狐様
2008-11-13
オオカミ様が代わられてから数年が経った。
俺も仕事を覚え、数多くの現場をこなして自分でも辛うじて
一人前の仲間入りを果たす事が出来たと実感するようになった。
また、兄弟子たちも独立し、または職を変えるなどして
いつの間にか俺が一番の古弟子となった。
弟弟子も多くの者が入れ替わり、古くからのヤツは三人ほどとなった。
その中で、俺と一番息が合い、本当の兄弟のようになった晃は
かつてお狐様に憑かれて昏倒した男だ。
「でも、俺はお狐様を恨んではいないんですよ」
あの時の話になると、晃は必ずこう言う。
「確かに俺は憑かれたけれど、夢の中で見た彼女はとても寂しそうで、
なんていうか、無理をしている感じだったんですよね。
だから、護ってあげたくなると言うか...」
ちなみに、あの時神主さんの奥様とお嬢さんは酷い目に遭ったが、
どちらも本当にお狐様の所為だったかは微妙である。
また、郵