有名人官能小説 若槻千夏
2006-09-15
千夏は薄暗い空間にいた。
そこは家具や調度類といったものの一切ない殺風景な部屋だ。
あるものといえば、肘掛け椅子が一つ。
その肘掛け椅子の背もたれを挟んで両手は後ろ手に縛られ、両脚は膝を肘掛けの部分に括り付けられていて、丁度M字開脚の姿勢で腰を前に突き出した何とも恥ずかしい格好をしているのが千夏だった。
この格好ではまず逃げるのは不可能だろう。
にも関わらず、先程から千夏はこの状況を何とかしようと動いているのだが、無駄な徒労に終わっている。
ギィ・・・
後ろでドアの開く音がした。
誰かがこの部屋へ入って来たようだ。
「お、目が覚めたようだね。」
その誰かが千夏に話しかけながら近付いていく。
若い男だった。
男は千夏の前に移動すると、もがく彼女の姿を嬉しそうに見下ろしていた。