理容店の女
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仕事で訪れたその理容店には、客はいなかった。
女店主とその娘と思しき二人の会話が偶然耳に入った。
「下着がないの。盗まれたのかな」
「千摺りコクに決まってるでしょ」
こちらへの視線を感じたが、仕事の話だけして、店を出た。
実は、夕べから二階の窓際に干していた下着がない。
他人事ではないその話は、いやでも耳に残って離れなかった。
といって、思い当たる節はなく、うやむやのまま幕引きとなる公算が大。
仕事を終え、家に帰る前に、寄るところがありました。
それは義弟のアパートで、私たちの結婚に伴い、実家を退いてくれていたものでした。
ですから時々行って、掃除や洗濯、食事の用意だってしてあげることがありました。
休みの日には。
部屋は狭く、義弟は、手枕で横になっていました。
仕事で着ていたスカートのまま、義弟を跨いで台所へ。
洗い物を済ませるつもりでした