近所のおねえさん

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2005-11-07

「あそこは絶対行ったらいけん」 

村中の子どもが、そう言われて育った。 
地主さんの家の離れ。薄暗い木立の奥、裏は氏神さんの社に通じる山。何となく不気味さが漂い、言われなくても近づきたくない感じだった。 
その離れが、小学生だった私の秘密の場所だったことは、50年経った今も、誰一人知らない。 

そこに住んでいたのは、翠(みどり)さん。 
地主さんの家の長女。そのころ、20歳を過ぎていたはずだ。 
病弱で、ひとり隔離されたようにひっそりと暮らしていた。 
私が初めて翠さんと顔を合わせたのは、4年生のとき。 
迷い込んだ裏山を下り、潜り戸を開けて入ったのが、この離れ。廊下でつながった便所の戸が開いていて、中でしゃがんでいた翠さんと目があった。 
翠さんは放尿の最中だった。白く勢いのあるほとばしりが、私の目にもはいった。 

「だれ

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