人魚物語(改2)
2015-09-29
20150926-人魚物語(改2)
1.奇跡
ここは北海道、釧路市。
もうすっかり雪化粧の朝、通勤途中のバスの中から外を眺めていると、ふと幣舞橋(ぬさまいばし)の欄干にいる人魚像が眼に入った。
可愛そうに、ブロンズは白く汚れ見る影も無い。
そうだ、今日はクリスマスだ!
私が人魚像に綺麗な姿をプレゼントしよう、そう思い立った。
その日の夕方、バケツと雑巾を持って人魚像の足元に腰掛けた。
汚れが漸く落ちて、綺麗なブロンズ像の姿に満足した私は、服に付いた汚れを手で払って立ち去ろうとした、その時だった。
突然誰かにオーバーを掴まれた。
誰だろうと振り向くとそこには、裸の美少女が!私の瞳を見詰めオーバーを掴んでいたのだ。
「ど、ど、どうしたの!?」
私は慌てて自分のオーバーを脱ぎ彼女に着せ、靴も脱いで履かせた。
ふと欄干に人魚像が無い事に気付い