楽園訪問
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「じゃあ2人とも、ちゃんと留守番してるのよ」
11月の静かな夜。
星明かりの届かない夜闇としとしとと降り続く秋雨に紛れ、俺はこの家にやってきていた。
庭の脇を抜けた先にある正門の方から、傘を叩く雨音に混じって聞こえていた話し声もすぐに止み、エンジン音が遠ざかってゆく。
そこから愛らしいターゲットたちが戻ってくる前に、俺は音もなく玄関扉へ身を滑り込ませた——
「ね、上でカプモンの続きやろぅ?」
「うん、先上がってて。トイレ行ってくる」
玄関を入ってすぐのところにある掃除用具置き場の中で身を潜めていると、玄関の開閉音と共に小鳥のような声が響く。
それも、すぐ近くで。
思わず荒い吐息1つをこぼし、俺は二手に分かれてゆく足音が止むのを待つ。
—階段を昇る足音。
——トイレであろう扉の開閉音。
———もう1つ、上から別の扉の開閉音。
(よし・・)
俺は静かにここを抜け出し、階段へ向かった。
2階に上がると3つ