昭和の「ダフニスとクロエ」 秋編
2018-04-05
昭和の「ダフニスとクロエ」 秋編
[9月の花]
聡の生涯最高の夏休みが終わり、2学期に入った。
9月に入ると、一番強烈な印象を受けるのはキンモクセイの香りである。
キンモクセイは常緑広葉樹の小木(樹高3mぐらい)で、9月に小さいオレンジ色の花を無数に付け、強力な芳香を放つ。花の香りが強烈な木は、例えばジンチョウゲ(沈丁花)、クチナシ、ニセアカシア、ライラック、ハシドイなどがあるが、キンモクセイは段違いに強力な芳香を放つ。「その匂い、一里四方に漂う」と昔から言われているが、「一里四方」は極端としても、確実に100m四方に芳香を放っている。
キンモクセイは主に庭木に使われる。円柱状の単独植か高生垣に使われるが、匂いが強烈なので高生垣にするにはかなり広い庭が必要になってくる。簡単に言えば、金持ちの広い庭の高生垣に使われる。
聡の近所の家に、玄関横に円柱状のキンモクセイ1本が植えられていた。また、聡の店の、郊外にあるお得意さんの隣の大邸宅に、キンモクセイの高生垣が植えられていた。9月になる