正弘君からの年賀状
2014-04-13
この体験談は約 5 分で読めます。
正月はテレビ番組もどこも似かよった内容でほとほと退屈になる。
妻と二人コタツに入りながらみかんを摘み、酒を飲みつつ、届けられた年賀状の束に目をやる。
おおよそ、百通ほどの束を自分宛と妻宛に分けてみるが、ほぼ五分五分で、今年は勝ったの負けたのとつまらぬ勝負にも決着が付かないような緩い昼下がりだった。
何気なく妻宛の年賀状を見ているうちに、何のコメントも無い家族たちの写った年賀状が目に入った。
「なにこれ?ノーコメント?」
そう言いながら妻にその年賀状を差し出した。
一瞬ではあったが、妻がなんとも表現しがたい表情になったので、気になってしまい、聞いてみた。
「あなた、聞いて気分悪くしない?」
ほろ酔い気味の妻が、やや艶っぽい笑みを浮かべたので直感的に『関係』のあった男だなと感づいた。
「結婚して10年以上だぜ、いまさら過去の男のことを聞いても腹は立てないよ」
「じゃあ、話すね・・・」
やはり、妻の大学時代の彼氏だった。