初めて見た美由紀の入浴姿
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七月最終の土曜日の午後だった。帰ろうとして廊下に出ると、そこで、ばったり美由紀と出会った。美由紀は私の係にいる三十三歳独身女性だ。「帰るの…」というと彼女は「ええ、帰ります。これから、中広の伯母の家に、このウナギを届けに行きます」と云う。「それでは、外は暑いから、車で送っていって上げよう…」と云うと美由紀は「えぇ!、ほんと、うれしい…」といって微笑んだ。
車を走らせた。外は真夏の午後の太陽で車の中も相当に暑かった。私は「随分、暑いね。暑いから、涼しい所で休んでから行かない…」と誘いかけると、美由紀は黙って上目遣いで運転している私を見つめた。それは暗黙の了解…という美由紀の色濃い眼差しであった。車は吉島の「上海」の暖簾をくぐり、薄暗い駐車場に停車した。明るい昼間にこうしたホテルに入るのは初めだった。美由紀も「係長さんは、案外、勇気があるのね…」と言った。エレベータを下りて、部屋のドアを開けて中にはいると、その部屋は、上海の名にふさわしい中国風の壁や家具であった。身体が汗ばんでいた私は「シャワーを浴びて汗を流しくるよ…」といって浴室に入り、汗を流して出てきた。美由紀にもシャワーを浴びるように勧める