いけない関係

開く
----/--/--

話は3年半前まで、逆上ります。

4月になって間もない頃、父の職場から電話がありました。それは、作業現場から転落し、病院に搬送されたというものでした。幸いにも、左腕の骨折だけで済み、命に別条はありませんでした。しかし、父と母はいわゆる『熟年離婚』をした直後であり、職人気質で亭主関白の父は、家事どころかお茶の一つも入れられない程。その上、骨折しての不自由な生活という事で、数年ぶりに実家に戻りました。
実を言うと、その当時、すでに私と夫は完全に冷め切っており、酒に溺れては手を上げる夫から逃げる様に出て来たのです。
当初、父はかたくなに「お前の助けなどいらん。」と頑固に言い張っていましたが、やはり不自由な事に直面し、私が手を差し出す事にも文句を言わなくなる様になっていました。

数ヶ月後、怪我も完治。それでも私は、ずっと実家に残りました。毎朝父にお弁当を作り、夕食を用意し帰りを待つ。そして父の為に家事をこなす。何でもない、そんな平凡な毎日を穏やかに過ごせる事に、ささやかな幸せを感じていたのです。
2人の離婚の原因は、仕事ばかりで家庭をかえりみない父に


お勧めの体験談