君に花束を

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2017-12-09




 財布の中身は15円。それが僕、田辺トオルの全財産だった。最後に食べたのは、一昨日の68円のインスタントラーメン。みそ味だった。
 このまま餓死するか、それとも悪事に手を出すか? 答えは言わずと知れている。ダメダメな僕だけど、生きたい。
 僕は決意して、前から用意していたメザシ帽と、大事にしてたモデルガンをふところに忍ばせて、近くのコンビニへ向かった。

 思えば、どうしてこうなったのだろう……。
 中学2年の秋。僕は同級生にイジメられて引きこもっていた。それを、両親は根性が足りないと言って無理やり学校に引きずっていった。その結果、僕は同級生の前に行って気を失う。それも、オシッコをもらして……。
それ以来、自分と同世代の人に会うと気を失うという、めずらしい対人恐怖症になってしまったのだ。勉強は昔からできたので一応大検は取ったが、大学へは行けなかった。だって、同世代の人に対して対人恐怖症なのだから。
 そのままズルズルと引きこもって25才になったとき、ついに両親か

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