夢幻泡影の姉妹
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炎天下の中、プール脇の更衣室で湿った空気を吸い込みながら、フェイトは思う。
これはきっと何かの間違いで、偶然なのだと。
フェイトは自分のロッカーの内部を何度も確認する。
既にプールの授業は終了し、他のクラスメイトは全員が教室に戻っていた。フェイトだけが最後まで更衣室に取り残されて探し物をしていた。
幸い、今日は体育の授業後は昼休みなので次の授業に遅れる心配は無い。
「———でも、早く戻らないとなのはやはやてに心配をかけてしまう」
急がなければならない事に変わりはなかった。
下着が無くなっていた。
更衣室のロッカーにしまっていたはずの下着だけが消えていた。制服や財布はそのままなのに、下着だけが見付からなかった。他のクラスメイト達にはそんな事は無かったようでフェイトだけが被害者という事になる。
「どうして・・・」
フェイトの呟きに応える者はなく、ただ蝉の鳴き声だけが更衣室の中で反響していた。
時計を見る。既に昼休みが始まってから15分以上が経過していた。