★あたしのボディーガード★
2005-05-15
電車は今日も混んでた。人がびっしり詰まって、臭いと熱気がものすごい。駅の階段から駆け込み乗車したので、あたしがいま乗ってるの弱冷房車だし。次の駅で普通の冷房車両に乗り換えようか、と思ってたけど、その駅に付いたら更に人がドカドカ乗りこんできて、あたしはむしろ中に押されてしまった。どうにか吊り革だけは確保。せめて座りたい~、とふと見ると、あたしの前に座ってるのはおじいちゃん。短めのステッキを足の間に立てて、その上に両手を重ねて、静かに目を閉じている。
(粋なおじいちゃんね~)
高そうな、クラシックなイメージのスーツと帽子が似合ってる。
しかし暑い~。きもち悪い~。
あたしは片手に握ったハンカチでパタパタ顔に風を送りながら、(乗り換えまで……あと10分ちょっとか~)と思った。
電車が突然、大きく揺れた。他の乗客に密着してた背中が楽になった、と思ったら、更に強い波に押された。
(おじいちゃんにぶつかるっ!)
あわてて手を前に出し、身体を支える。手が窓に着いた時、「どんっ」と音がした。おじ