其の一 野良千ずり
----/--/--
其の一 野良千ずり
春さき、野辺へぶらつきゐるうち、蓬つみ又は田芹ひきにと、十三四の処女ども、五人、三人足もそらにかけ歩くさまを見れば、何となくゆかしく思はれる。かかる折にも、一物をもちあつかひ堪えがたき熱をさまさんとする者、若き人には多かるべし。かやうなる時、快くやらんと思はヾ、さりげなき様して、処女のそばへ行き、我も同じやうに草つむふりにて、子供等の挙動をうかヾふべし。処女達はつみ草に余念なければ、我が股ぐらをこひをる人ありとは知らず、溝の岸などに、ほしと思ふ田芹見出したる嬉しさに、股をひろげてつみをるものゆゑ。ゆもぢのはしより、むっくりとまんじゅう二ツならべし如き土器をあらはすことまヽあり。此