天は遠く
2008-02-16
一歩、また一歩と聡子は階段を確実に上っていく。
一歩、また一歩と確実に空が近づいてくる。
自分の夢が叶うのかと思うと自然と笑みがこぼれた。
いつの頃からだろう。空を飛びたいと思ったのは。
「あぁ、あれは、私の靴がゴミ箱から見つかった時だ。」
自傷気味に出した声は冷ややかな壁に吸い込まれていくようだった。
聞こえよがしの悪口やクラスメイトの嘲笑を全部無視して空を飛べたらと思ったのが一番最初で、その後は、毎日のように思い続けていた。殴られ、蹴られ何度も地面に這いつくばり、その思いは強くなっていった。
そんな、私の夢がついに叶う、いや、かなえる決心がついたんだ、と誇らしげな気持