エヴァ
2005-12-29
~エヴァ~
他の生徒は誰も居ない真夜中のプールサイドに独りで腰掛けている、
濡れて雫を滴らせたスクール水着を着て俯き加減のレイに、
夏の蒸し暑い空気に制服を少し汗ばませているシンジが、
驚かせないように優しい調子で声を掛けた。
レイの細くスラリと伸びた肢が透き通った水の中から引き揚げられると、
虫の音しか聞こえない静寂の月夜に涼しげな水音を響かせる。
碇君、とレイが消えそうな声で云う。
「何かわたしに用があるのかしら」
「綾波の泳ぎを見てたんだよ」
依然として無表情なままの彼女の唇から、そんなことをして楽しいの、
という言葉が漏れたが、覗き見ていたシンジの視線を嫌うような調子を少しも含ませてはいなかった。
彼の行為が理解不能で