順子と俺の忘れられない心の傷・前編

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2015-10-28

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華やかな雛壇の上で、俺は傍らで微笑むウエディング姿の順子に微笑みかけた。

「幸せになろう・・・な」

俺の囁きに順子は素直にコックリと頷き、俺を見つめ返した。
瞳が輝いている。
今日の順子はとびっきり綺麗だ。

今日、俺たち2人は小学校以来、十数年の付き合いを経て結婚する。
物心ついて以来、俺の傍らにはずっと順子がいた。
学校生活でもプライベートでも・・・。
そのほとんどが楽しく、忘れ難い思い出だ。
でも一つだけ、2人にとって耐えがたい、心の奥底に刻み込まれた記憶がある。

俺は順子のアップした髪の下に広がる聡明そうな額をじっと見つめた。
念入りにメイクを施したその肌には、ちょうど眉間の上辺りに、まるで観音像のような丸い火傷の跡がある。
この傷については俺も順子も互いに今は口にしない。
しかし、この火傷を負った日の記憶が消えることはない。
そう、この先一生・・・。

忘れもしない高校3年の


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